近年の横浜近郊で生活する犬猫が感染症に罹る割合は低いです。けれどゼロではありません。
予防できるのに予防しないで我が子を病気にしてしまったら飼い主さんとしてはとても悔やまれることと思います。
また外出の機会が多い犬では、病気をうつさない、うつされないためにきちんと予防接種を受けておくことが必要と思います。
ワクチン
予防接種はワクチンを接種するわけですが、ではワクチンとはなんでしょう?
ワクチンとは無毒かあるいは弱毒化した病原体を含むものです。接種することによりその病気に対する抗体を作り出します。
子犬子猫は母親から胎盤、あるいは初乳を介して抗体をもらいます。これを移行抗体といい8~12週齢で消失してしまいます。
接種は移行抗体が消える時期に行うべきですがその時期は特別な検査をしなければ確定できないので、
当院では抗体が消失すると推測される8週齢、12週齢、16週齢くらいに3回接種することをお勧めしています。
従来は検査センターに依頼していた抗体検査が院内で出来るようになりました。これを取り入れたワクチン接種も検討してまいります。
ワクチンにはコアワクチンとノンコアワクチンがあります。
コアワクチンとは生活環境に関わらずすべての子が接種すべきと考えられるワクチンです。
ノンコアワクチンとは生活環境によって感染リスクが高い場合に接種すべきと考えられるワクチンです。
どのワクチンを接種したらよいかはご相談下さい。
犬の予防接種
犬のワクチンで予防できる主な感染症は9種類で、ワクチンは6種と8種が一般的です(他に5種、9種ワクチンがあります)。
狂犬病は単体ワクチンです。
世界的には3年に1度の接種が提唱されています。
ただしこれは前回の免疫が完全にとれていること、わが国では犬の集まる場所(ホテル、トリミングハウスなど)で
1年に1回の接種がもとめられることから現時点では1年毎の接種をお勧めしております。
理想的には抗体検査を行ったうえで必要に応じて接種することです。
今後犬のワクチンの接種間隔については検討しなければならないと考えております。
*青字:コアワクチン
6種 | 8種 | 単体 | |
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犬ジステンパー | ○ | ○ | |
犬パルボウイルス感染症 | ○ | ○ | |
犬アデノウイルスⅠ型感染症 | ○ | ○ | |
犬アデノウイルスⅡ型感染症 | ○ | ○ | |
犬コロナウイルス感染症 | ○ | ○ | |
犬パラインフルエンザ感染症 | ○ | ○ | |
犬レプトスピラ病 カニコーラ型 | ○ | ||
犬レプトスピラ病 イクテロヘモラジー型 | ○ | ||
狂犬病 | ○ |
猫の予防接種
猫のワクチン7種の感染症に対するワクチンがあり、ワクチンは3種、4種、5種、7種の混合ワクチンと単体のワクチンがあります。
室内飼いでもワクチン接種は必要です。
飼い主が病原体を持ち帰る、万一の脱走等々、完全に閉鎖された空間でのみ暮らすわけではありませんから感染の危険はあります。
*青字:コアワクチン
3種 | 4種 | 5種 | 7種 | 単体 | |
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猫ウイルス性鼻気管炎 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
猫カリシウイルス感染症 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
猫汎白血球減少症 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
猫白血病ウイルス感染症 | ○ | ○ | ○ | ||
猫クラミジア感染症 | ○ | ○ | |||
猫カリシウイルス感染症2種 | ○ | ||||
猫免疫不全ウイルス感染症 | ○ | ||||
狂犬病 | ○ |
当院では感染のリスク、副反応を考え合わせ、多くの猫には3種混合ワクチンをお勧めしています。
また、最新の研究報告により、猫のワクチンが腎臓に負担をかけることが明らかになったために当院は、
室内飼いの成猫には 3年に1回のワクチン接種が適切と考えます。
子猫、充分に免疫がとれていない猫、屋外に出る猫についてはこの限りではありません。
我が国での最後の発症例は昭和32年の猫でした。