SFTS(重症熱性血小板減少症)
SFTSは2011年に中国の研究者らによって発表されたブニヤウイルス科フレボウイルス属に分類される新しいウイルスが引き起こすダニ媒介性感染症です。
日本では2013年1月にSFTSに罹患していた人の報告が確認されたのが最初の発症例となります。
感染経路
- ウイルスを保有しているマダニに直接咬まれること、もしくはマダニに咬まれて感染した動物の血液、体液などに触れることにより感染します。
- 人から人、犬猫から人へ等の感染の可能性があるわけで、実際に我が国でも犬猫から感染した人の症例が複数報告されています。
症状
- 6日~2週間の潜伏期を経て、発熱・食欲不振・嘔吐・下痢等の消化器症状、意識障害などの神経症状、皮下出血・下血等の出血症状を呈します。人での致死率は10~30%です。
治療法
- 対処療法のみで有効な薬剤、ワクチンはありません。
2017年3月までは人のみが発症し動物は感染しても不顕性(病気に罹っているが症状が現れない状態)であると思われていましたが、2017年4月に猫、犬、チーターなど立て続けに発症例が見つかり、現在では動物においても致死的な疾患を引き起こすと考えられています。動物における症状は人とほぼ同じで、致死率は犬29%、猫60~70% です。
猫におけるSFTS - 2017年4月に和歌山県で発症した猫が世界初の動物での発症となります。犬におけるSFTS - 2017年6月に徳島県で発症した犬が世界初の犬での発症となります。
人への被害は2018年12月までに全国で396症例報告され、うち65人の方が死亡されています。被害は西日本中心でしたが徐々に全国に拡大しています。今年10月に横浜近郊のタヌキ、川崎の猫で感染が確認されその脅威は身近なものとなりました。
SFTSの脅威に対して飼い主の皆様にお願いしたいこと
- 当院ではこれまで、特に感染リスクが高い状況のイヌ以外は、ノミの活動休止期である1~3月半ばまではノミダニ予防薬の投与を積極的にお勧めしてきませんでした。ですがSFTSの現状を考えると、人、愛犬、愛猫を守るために、すべての(身体状況、年齢により投薬不可の子を除く)犬猫にノミダニ予防薬を通年投与していただきたいと思います。