猫の甲状腺機能亢進症
「シニアなのに良く食べて太らず、毛並みはよく、クレアチニン(腎臓機能の評価)も正常範囲。目はぱっちりで可愛い、これって病気?」
先日の猫の集会ではこんな問いかけがありました。
答え:甲状腺機能亢進症という病気の疑いが非常に強いです。
甲状腺機能亢進症とは甲状腺(気管の両側にあり甲状腺ホルモンをつくる小器官)の腺腫等が原因で甲状腺ホルモンの合成と分泌が過剰になる病気です。甲状腺ホルモンは体中の細胞に働き、その代謝を活発にします。
治療をせずに放置するとやがては身体が限界を超えてしまうという危険な病気です。
- 症状:代謝が激しく進む、心臓機能が高まる、活動量があがる等の症状が現れ、その結果として特に心臓、腎臓に負担がかかります。
体重減少がほとんどの子に見られ、ついで多食、下痢嘔吐、多飲多尿、活動亢進といった症状が現れます。 - 診断:血液中の甲状腺ホルモン濃度を測定します。
触診、超音波、CTにより甲状腺の異常を調べるといった方法もあります。 - 治療:甲状腺ホルモンの合成を阻害するお薬を服用します。
外科的に甲状腺を摘出して根治する方法もあります。
この病気で注意しなければならないのは
・自然な老化、むしろ歳のわりにはうちの子は元気、と見えることです。
・腎臓機能が亢進するためシニア猫に多い腎臓病を隠してしまいます。
8才以上、10才を超えた子に多い病気ですのでシニアの子は特に定期検査を受診していただきたいと思います。